横浜国立大学との共同研究報告 および 社員紹介 vol.12 お知らせ

横浜国立大学と株式会社翔設計の共同研究に関して、この冬の取り組みがひと段落致しましたので遅まきながら研究結果のご報告を致します。

過去記事『横浜国立大学との共同研究について』

この度の実験では、経年経過した住宅の改善に関する研究の一環として、実際に人が居住されている団地1階住戸に簡易改修改善を施した住まい体験の場を作り、来場した同建物の住民を対象にアンケート調査を行いました。
大がかりな工事ではなくDIY程度の簡易な改修改善により冬季の住まいの冷え込みをどれだけ防げるのか、また改修改善工事(方法)の良し悪しではなく「なぜ寒いのか」「どうしたら寒さが軽減するのか」を「体感・実感」することをねらいとしています。

【簡易改修改善箇所】
1)断熱効果のある床マットの設置

既存の床の上に一枚別素材の床マットを置くだけですが、肌に触れる素材の種類によって暖かさの感じ方が異なりました。これは素材毎のどれだけ早く熱が伝わっていきやすいかという特徴(熱貫流率)の差によるものと考えられます。


2)床下への断熱材設置

床下断熱は、寒さ対策に顕著に効果があることがわかりました。一方で工事方法がDIYの範疇に収まっているとは言い難い内容のため、居住されている方が専門家の手を借りずに行うには難しい点が指摘されました。


3)二重窓設置



4)断熱効果の壁紙の工夫および無断熱壁と3)との比較




窓を断熱しても、躯体側に何も対策が施されていないと冷気の侵入を防ぐことはできないことがわかります。


5)窓際コールドドラフト(冷気が足元に下りてくる現象)対策

窓際に足元まで壁がある家具を置くことで、冷気が部屋の中心部まで侵入することを防ぎます。
一方で冷気が窓際に留まることで生じる結露はどう対応するのかが議論に上がりました。




6)風呂場の窓パネル(着脱式)の設置



7)浴室すのこ



8)玄関・脱衣所まわりの立ち座り補助家具



今回の実験的取り組みから分かったことは、
【1】高齢期には簡易な住宅改善ニーズがあること。
【2】高経年の住宅ならではの課題が体験を通じて実感できることが分かったこと。
【3】具体的な対策の在り方として住民同士の助け合いの可能性も示唆されたこと。
でした。
この結果を踏まえ、今後は住民同士の助け合いの仕組みをどのように構築するか、建築や福祉の専門職がどのように関われるか等の検討が課題となっています。

参考論文:高齢期の住宅改善に関する研究 ―実住戸を用いた体験学習機会の構築を通じて―https://ci.nii.ac.jp/naid/120006633367

また、本共同研究において、主に改修工事実現のサポート役を担いました弊社社員をご紹介いたします。
改修コンサルタント事業部 第四設計室 鳥山俊介。業務のかたわら消防設備士の資格を積極的に取得するような努力家です。普段は主に分譲マンションの設備改修工事に関わる設計監理業務に携わっています。今期、主担当となってコンサルタント業務も行っておりますので、完了した折には設備改修の実例として改めてご紹介できればと考えております。

今回は社長室の髙橋がお送りいたしました。