翔設計グループ

上野動物園「パンダのもり」 “世の中により良い動物園をつくりだすことを目指して”
(お知らせ)

2020年10月23日 お知らせ 実績紹介 実績紹介 新パンダ舎「パンダのもり」

2020年9月8日、上野動物園の西園にジャイアントパンダとその生息域に暮らす動物の新しい施設「パンダのもり」がオープンしました。翔設計は2014年1月より6年の歳月をかけその設計監理に携わって参りました。
動物園の計画において大切なのは「動物・植物・飼育・観覧・修景」その全てを確りと理解し、複合的な要素をひとつひとつ解決しながら計画することが重要となります。しかしながら、それらを理解しているコンサルタントが少ないのが現実です。私たち翔設計は、動物園の計画における複雑な課題を理解し、一つ一つ紐解きながら「世の中により良い動物園をつくりだす」ことを目指しています。
ここでは、計画を通して「動物園の計画で留意すべき点」や「具体的な実行例」を紹介していきます。本施設は、ジャイアントパンダの飼育環境を充実させ、魅力的な展示空間によって訪れる人に「楽しみ」を提供する動物園の先進事例であり、「パンダのもり」を通して世界中の動物園のより良い発展に貢献できることを願っています。
第一回は、「動物園の役割」と「動物園で過ごす要素」について説明致します。

ジャイアントパンダ屋外放飼場(上野動物園のジャイアントパンダ情報サイトHPより引用)

(公財)東京動物園協会提供

 

動物園は魅力的でなければならない

動物園には次にあげる4つの大きな役割があります。
「保全」、動物園は本来の生息地ではない場所で動物を飼育する施設です。また、飼育される動物の多くは絶滅危惧に面しており、「パンダのもり」に展示されるジャイアントパンダやレッサーパンダも絶滅危惧種に指定されています。動物園は、生息地の外でその数が少なくなり絶滅しそうな希少な動物たちを守り、育て、保全していく責任があります。
「教育」、動物を間近に見ることができる動物園では、動物の特徴やその生息域を伝え、生態と環境の理解と野生の動物が住むことができる生息域が少なくなってきていることを知り、自然や環境保全の大切さを考えるきっかけとなる場所である必要があります。
「研究」、動物園で飼育する動物を増やそうと努力をしています。飼育環境下における新しい生命の誕生は、動物の保全に繋がるとともに、生態を観察し動物のことを知り、その研究を通して野生化での自然保全に繋げていく必要があります。
「楽しさ」、動物園は教育研究施設であるとともに余暇の目的地です。興味のある動物が見たくて暇なときに訪れ、居心地の良い場所を見つけることを期待する場所です。動物園は楽しさが生まれる場所である必要があります。

動物園の4つの役割

動物の「保全」「教育」「研究」について知り、そのことを世の中に伝え、支援してくれる人(スポンサー)になり得る人々が訪れる場所が動物園です。「楽しさ」が得て、何度も訪れたくなる、動物園の役割を果たすためには、動物園は魅力的でなければなりません。

 

「パンダのもり」入口 豊かな緑によって魅力的な空間を作り出している

動物園が快適に過ごせる場所であるために

動物園を計画する上で大切なのは、動物園で過ごす3つの要素である「生活行動」、「散策」、「観察」を把握し、計画に確りと盛り込むことです。
動物園で過ごす3つの要素 動物園を訪れる多くの人は長い時間を過ごします。動物園内のレストランで昼食を食べたり、カフェで飲みものを飲んだり、ピクニックのように広場でお弁当を広げる人も多くいると思います。十分な座席数を確保できる空間や広がりのもったスペースの確保が重要です。また、折角訪れてもトイレに長時間並んでいる時間は良い思い出になりません。動物園を快適に過ごせる場所として計画するためには、基本的な「生活行動」(飲食、くつろぎ、排泄等)に十分に配慮する必要があります。

エリア外に設置したトイレ 屋上緑化が「パンダのもり」の緑を借景として繋がる

動物を見に行くまでの園路の「散策」も動物園をつくる大きな要素になっています。緑が多く動物がいなくても魅力的で居心地の良い景観をつくり出すことが重要です。その場所にもともとあった緑を活かしたり、計画地の外にある緑を借景としたり、植栽デザインと景観デザインによって緑を重ねることで、豊かな景観が生まれます。

「パンダのもり」園路 訪れた人にジャイアントパンダの生息地を訪れたような感覚を与える

動物園を訪れる人の主要な目的は動物の「観察」にありますが、動物の種類によって魅力が異なります。一般的には、哺乳類は鳥類より知られており、大きな動物は小さな動物より人気があります。

一般的に哺乳類は鳥類より知られている

一般的に哺乳類は鳥類より知られている

ジャイアントパンダが絶大な知名度と人気を誇ることは言うまでもありませんが、その種の独特な点を上手く解説することによって、その動物の魅力を上げることができます。

ジャイアントパンダの解説サイン

同じ動物でも見せ方によって魅力は変化します。来園者は活発に動く動物を観察したいものであり、給餌場や水場、動物が好む場所と来園者の観察場所の関係性が非常に重要になります。

ジャイアントパンダ屋外放飼場 給餌場や水場は来園者の関係性に考慮して配置している

次回は「パンダのもり」で実践した「テーマゾーンの設定」と「園路の役割」について説明致します。


関連リンク

東洋経済ONLINEに記事が掲載されました「シャンシャンに弟妹?上野「新パンダ舎」の底力」
(2021年4月6日)
お知らせ 記事掲載
建設経済新聞に記事が掲載されました「新ジャイアントパンダ舎パンダのもり」
(2020年10月21日)
お知らせ 実績紹介 記事掲載
弊社で設計監理を手掛けた「上野動物園 パンダのもり」が 新聞・雑誌に掲載されました!
(2020年8月17日)
お知らせ 実績紹介 記事掲載
お知らせ一覧に戻る